蹲踞
燈籠
垣根

庭を演出するもの

私自身茶道を始めたことで、多くの露地(茶庭)を見る機会に恵まれた。茶道において庭は、小間、広間と、その部屋の位(くらい)に合わせて作ることが求められる。露地の構成要素には蹲踞(つくばい)、燈篭、垣根、待合などがあるが、はたしてこれまで私はそれぞれの茶の位に合ったものを使ってきただろうか・・・。茶道具という伝統工芸に親しむと、これが意外にも伝統だけを追いかけているのではなく現代的であったりする。

中でも私が影響を受けたのは茶釜で、若い世代の釜師たちが伝統を受け継ぎながらも自分たちの感性も併せて磨き表現していることだ。それに比べて私も含めた造園家たちの使う水鉢(蹲踞)といったら、自然石か見立物くらいがせいぜいだ。確かに茶室の位に合っていればそれはそれでいいかもしれない。しかし、もっと一つ一つの茶室に合った水鉢があってしかるべきではないだろうか。そう思い、一念発起したのが創作水鉢の設計を始めた所以である。試行錯誤を繰り返しながらも現在独自の意匠の水鉢は約三十種。

さらに燈篭、垣根にも独自性を求め、自らこしらえるようになった。庭を構成する演出物の幅が広がればと思う。